INUNOMAができるまで|シーズーと暮らした部屋から始まったブランド
INUNOMAは、犬のいない部屋から始まりました。
正確に言えば、「犬がいなくなった部屋」から。
■ シーズーと暮らしていた頃の話
2年ほど前まで、シーズーと暮らしていました。
犬を飼い始めてすぐに気づいたのは、部屋の雰囲気がまるで変わるということ。同じソファ、同じテーブル、同じ間取り。何も変えていないのに、あの子がいるだけで全部が違って見えた。
ソファはあの子の指定席になった。テーブルの下はお気に入りの昼寝スポットになった。玄関のたたきは、散歩前にそわそわする場所になった。
家に帰るのが楽しみになった。それだけで、毎日が少し変わった。
■ 「犬グッズ」に感じていた小さな違和感
犬と暮らし始めると、自然と犬グッズが増えていく。
リードやフードボウルはもちろん、犬柄のクッション、犬のイラストが入ったマグカップ、犬のカレンダー。犬が好きだから買う。それ自体は楽しい。
でも、ある日ふと部屋を見回して思った。
「犬グッズっぽいものばっかりだな」と。
ポップなイラスト、派手な色使い、「DOG LOVER」と書かれたレタリング。どれもかわいい。でも、インテリアとして見ると、ちょっと浮く。
自分の部屋はグレーとベージュを基調にした、わりと落ち着いた空間にしていた。そこに犬のグッズを置くと、そこだけトーンが違う。好きなのに、馴染まない。
壁に飾れる犬のアートが欲しい。でも「犬グッズ」ではなくて、インテリアとして成立するもの。かわいいだけじゃなく、部屋のトーンに溶け込むもの。
そういうものを探したけれど、なかなか見つからなかった。
■ あの子がいなくなった部屋で
シーズーを見送ったあと、部屋がまた変わった。
今度は逆の変化だった。同じソファ、同じテーブル、同じ間取り。何も変わっていないのに、全部が違って見える。
ソファの指定席には誰もいない。テーブルの下に丸まっている影がない。玄関でそわそわする足音がしない。
部屋を好きになれなくなった時期があった。
そのとき思ったのが、「壁に何か飾りたい」ということだった。写真をそのまま飾るのは、まだちょっとつらかった。でも、アートとして描かれたものなら、毎日目に入っても大丈夫な気がした。
リアルすぎない。でも、ちゃんとあの子を思い出せる。そういう距離感のもの。
■ 「ないなら、つくればいい」
欲しいものが見つからないなら、自分でつくればいい。
そう思ったのがINUNOMAの始まりです。
最初に決めたのは「犬グッズ屋にはならない」ということ。つくるのはインテリアとして成立するアートポスター。犬が好きな人の部屋に、犬の絵があるのは自然なこと。でもそれが「犬グッズ」ではなく「インテリアアート」として部屋に馴染んでいる。
その違いをつくりたかった。
用紙はマット仕上げを選んだ。光を反射しない、落ち着いた質感。部屋の照明の下で、どの角度から見ても絵の色味がそのまま見える。壁に飾ったときに、テカらない。それだけで、ぐっとインテリアに馴染む。
水彩で描くことにしたのも、「部屋に溶け込む」ためだ。リアルすぎる絵は主張が強い。かといって、シンプルすぎるとただの記号になる。水彩のにじみや筆のタッチには、リアルと抽象のちょうどいい中間がある。
■ INUNOMA——犬のいる間
ブランド名は「INUNOMA」にした。
「犬のいる間(ま)」。部屋という意味の「間」であり、時間という意味の「間」でもある。
犬と暮らしている今の時間。犬と暮らしていたあの時間。どちらも大切な「間」だと思った。
今犬と暮らしている人の部屋に、その子のアートを飾ってほしい。朝起きて目に入る。仕事から帰ってきてソファに座ったとき、ふと目に入る。それだけで日常がちょっと変わる。
犬がいなくなった部屋にも、飾ってほしい。壁を見るたびにふと思い出す。つらくない程度に、でもちゃんと思い出せる。アートにはそういう距離感がある。
■ フレンチブルドッグ、柴犬、ミニチュアシュナウザー
最初の3犬種は、フレンチブルドッグ、柴犬、ミニチュアシュナウザーにした。
どの犬種も横顔のシルエットに特徴がある。フレブルのコウモリ耳、柴犬の凛とした鼻筋、シュナウザーの眉毛とヒゲ。水彩で描いたときに、少ない筆致でもその子だとわかる犬種を選んだ。
これからも犬種を広げていきたいと思っている。でも数を増やすことよりも、一枚一枚が「部屋に飾りたい」と思えるクオリティであることのほうが大事だと思っている。
■ あなたの部屋に、一枚
犬と暮らす部屋を、もっと美しく。
それがINUNOMAをつくった理由であり、これからも変わらないコンセプトです。
壁を見るたびに、ふと思い出す。
そんなアートポスターを、あなたの部屋に。